2018年5月9日水曜日

外国人の介護職- 在留資格「介護」の創設と技能実習の対象職種へ 解説

2017年11月から、技能実習の対象職種に介護が加わりました。

それと同時に施行された技能実習保護法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)の中で母国語での相談体制の整備がありますが、私は4月から技能実習機構の母国語相談センターでコーディネーターを務めることとなりました。

技能実習機構は、管理団体や技能実習計画の認定を行います。それと同時に、技能実習生からの違反の申告の窓口となり、現在、9か国語で受け付けている母国語相談センターがその役割を担っています。

技能実習機構 ホームページ http://www.otit.go.jp/ 

今まで、外国人の介護について相談業務で携わることはあまりなかったのですが、近年の日本の人手不足に伴い、注目度が高まると同時に、私が関わることが増えてきたように思います。

下記は、私が所属する東京社会福祉士会の会報誌(2018年2月号)で、社会福祉士向けに特別解説を執筆した外国人の介護分野の受け入れについての部分(一部抜粋)です。


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介護分野で外国人労働者を受け入れる新たな枠組み

まず、今般の「出入国管理及び難民認定法」(以下、入管法)改正の前、介護分野での外国人労働者受け入れがどういう状況であったかを、ざっと振り返ってみたいと思います。

介護を「単純労働」としてきた入管政策

 ご承知の通り、日本の入管法は、単純労働への就労を根拠とした入国・在留を認めていません。今般の改正以前は、介護労働も単純労働に位置づけられていたため、介護労働を根拠とした就労資格は、そもそも存在しませんでした(かたや「介護福祉士」という国家資格を制度に持ち、国として介護という職業を専門知識及び技能を要する職業であると認めているにもかからず、一方で単純労働扱いしていることには、個人的には違和感を覚えていました)。

 ただ、▽日本人と結婚をした人(在留資格「日本人の配偶者等」) ▽永住を許可された人(在留資格「永住者」) ▽日系二世(在留資格「日本人の配偶者等」) ▽日系三世(在留資格「定住者」)など、職種・業種を問わず就労可能な在留資格を持つ外国人については、介護現場でも一定の就労がありました。その後、リーマンショック(2008年)に端を発した不況で、それまでの職(製造業の工員等)が失われたこともあって、就労が拡大したと推測されます。

 しかし、就労を根拠とした枠組みでの在留資格ではなかったため、「外国人による介護就労」として社会的に注目されることはありませんでした。

 一方、時期を同じくして、EPA(経済連携協定)の一環で、インドネシア、フィリピン、ベトナムから順次、介護福祉士候補者の受け入れが始まります(2008年~)。こちらは、「外国人による介護就労」として注目されることとなりました。

留学生の介護福祉士取得後の在留、技能移転目的の在留

次に、昨年から導入された新たな仕組みについて概説します。

(1)在留資格『介護』の創設
 一つ目が、「在留資格『介護』」の創設です(2017年9月~)。
 すなわち、「日本国内の介護福祉士養成施設を卒業して介護福祉士国家資格を取得した留学生に対して、介護福祉士として介護または介護の指導を行う業務に従事することを可能とするもの」(厚生労働省ホームページ)です。

 介護が単純労働ではなく、専門的知識・技術を伴う労働として認められたものと解せられますが、介護労働に就労すれば無条件で在留が認められるというわけではありません。

 改正後の入管法規は許可の条件として、「養成施設を卒業して、介護福祉士の資格を取得した人」という基準を定めています。つまり、介護福祉士であるだけでは不十分で、「介護福祉士養成施設を卒業して介護福祉士を取得した」人でなければ在留許可の要件に該当しないということです。

 例えば、日本人と結婚して介護施設で働き、3年の実務経験を積んで、国家試験を受け(実
務経験ルート)*1、合格して介護福祉士を取得し、その後、わけあって離婚した外国人がいたとしましょう。この場合、「日本人の配偶者等」という在留資格の基盤が失われますから、引き続き在留を希望する場合には、その他の在留資格に変更する必要があります。しかし当該外国人は、たとえ介護福祉士として第一線で活躍していても、「養成校を卒業していない」という一点を以て、在留資格「介護」への変更が認められません。これまでも多くの離婚者がそうしてきているように、「定
住者」資格への変更する道を探ることになります。
*1 平成28年度試験からは、養成施設等における「実務者研修」の修了が受験資格に追加されています

(2)技能実習制度の対象職種に「介護」追加 
二つ目が、在留資格「技能実習」の対象職種への「介護」の追加です(2017年11月~)。 技能実習という在留資格は、もともと国際貢献の趣旨で、開発途上国等の外国人を一定期間に限って受け入れ、OJTを通じて技能移転を進めるために設けられたものでした(1993年~)。従前は、農業、建設、食品分野などでの作業を担う職種が対象でしたが、今回初めて対人サービスの職種が加わることになったものです。

 あわせて「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)が施行され、監理団体に対する規制強化、技能実習生の保護体制強化、優良な受入れ機関にかかる実習期間延長(最長5年)など、制度全体の拡充が図られました。

 以上の新たな2つの在留資格を含めて、現在、介護現場で就労が可能な外国人の在留資格別の概要をまとめたのが表1です。


介護職への外国人の定着のために 現場からの声として、EPAの枠組みで来日する外国人に対しては介護福祉士資格取得に向けた受け皿がある一方で、表1でいう「身分に基づく資格」に該当する外国人には、なんら言葉の問題等への公的なサポート体制がないことについて、「整合性が取れていない」「公平性を欠くのではないか」との指摘もあります。

彼ら彼女らが介護福祉士取得を目指そうにも、その支援は各介護施設や事業所に丸投げされているというのが現状なのです。

 制度上、縦割りの受け皿整備とならざるをえないのも理解できるのですが、もう少し大きな枠組みでサポートする制度があれば、就労制限がない外国人も含め、日本に暮らす外国人の介護職への定着につながるのではないでしょうか。

2017年12月28日木曜日

2017年の軸足&新たに導入

今年も残りわずかとなりました。

今年の活動を振り返りますと。。。3月までは、外国人相談センターに非常勤で勤めながら自身の事務所の仕事をしてきました。
4月以降は、事務所の仕事に集中してみたいこともあり、相談センターは一時お休みすることにしていました。偶然にも、所属するNPO団体が法務省入国管理局の入札で受託できませんでしたので、完全に相談センターを離れました。

NPOでは、引き続き、月2回の専門家相談を開催しており、私は弁護士のコーディネートや行政書士としても在留関係の相談を受ける活動をしてきました。

さて、自分の事務所での仕事と言いますと、完全に軸足を日系ブラジル人が絡む相続のサポート業務に置くことになりました。

弁護士や司法書士が受任した相続手続の中で、ブラジルに移民した相続人やその子孫がいる場合に、言葉や制度の壁があり、手続きを進めることが難しい場合に、私が翻訳や連絡を行っています。

その中で、今年導入したことと言えば、WhatsAPPです!
ブラジルで一般的に使われるLINEのようなメッセージ送信機能です。
それまでは、メールでブラジルの相続人とやり取りをしていましたが、携帯を使ってWhatsAPPでやり取りをするとで、効率が上がったと思います。

ブラジルの方も携帯でメッセージを送るのは簡単ですし、私も、時差が12時間あるブラジルとやり取りをするのには、携帯からパパッと送ることができるWhatsAPPは助かります。

相続以外のお仕事といえば、翻訳が多いのですが、レアケースとして、ハーグ条約の国際的な子の連れ去りの申し立てを日本の外務省経由でブラジルに行ったケースで、ブラジルの裁判所の書類や反論書の訳を行うお仕事をさせていただきました。

外務省では、申し立てについての書類は全て無料で翻訳をしてブラジルに送ってくれますが、ブラジルの裁判所や弁護士が提出した書類については訳されていませんので、日本側の申立人が理解をするために和訳が必要となります。

来年度も、相続手続のサポートに軸足を置きながら、外国人相談の分野でも引き続き活動を続けてまいります。

2017年9月26日火曜日

所有者不明土地問題 日系ブラジル人が絡む相続手続も進展するかなー?

ニュースによると、政令指定都市や東京23区で所有地不明土地が700超見つかったとのことです。こうした土地は田舎の土地でも多く存在します。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170924/k10011154571000.html
(ニュース詳細はこの記事の最後)

日本は1908年にブラジルに移民を送り出し始めました。
地方の農家では、長男は家を継ぎ、次男以下は広い土地を求めてブラジルなどに移民したというケースがありました。そのため、田舎でこそ遠い親族に、ブラジルに移民した相続人がいることがあります。

実際、当事務所に依頼いただくケースは、鹿児島や福島など、九州や東北、中国地方から全国多岐にわたります。

何代にもわたって住んでいる土地でも、相続手続きを放置していて、いざ自分の代で手をつけようとして調べると、相続人の一部にブラジルに渡った遠い親戚がいた、ということが判明することがあります。

ブラジルに渡った相続人でも、日本の法務局や裁判所に確認をしながら、ブラジルの書類をそろえて出す必要があります。

しかし、実際に、地方の土地だと山林含めても不動産価値が高くなく、ブラジルの相続人を巻き込んで手続きをしようとしたとき、予想外の費用に、さらに手続きが放置されることもあります。

今回、所在地不明土地の問題がきちんと審議され、土地活用の新制度ができることを期待し、この問題に注視していきたいと思います。

以下、NHK 9月24日 18時41分 記事
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170924/k10011154571000.html
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所有者不明土地 政令指定都市や23区で700超見つかる

相続の際に登記などの手続きが行われず、放置されている所有者不明土地の問題で、人口が多い政令指定都市や東京23区にもこうした土地が少なくとも700か所以上見つかっていることがNHKが行ったアンケート調査でわかりました。

回答した自治体の7割以上で公共事業の計画が遅れるなどの影響が出ているということで、専門家は「人口の多い都市部でこれから代替わりが進めば問題解決はより難しくなる。相続登記の見直しが必要だ」と指摘しています。

相続の際に登記などの手続きが行われず、放置されている「所有者不明土地」は山間部などを中心に増え続けているとされ、民間の研究会は全国で九州の面積を超える410万ヘクタールに上ると推計しています。

この「所有者不明土地」が人口が多い都市部にどのくらいあるかを把握するため、NHKは全国20の政令指定都市と東京23区にアンケート調査を行いました。その結果、これらの自治体で過去5年に公共事業を行う際に見つかった「所有者不明土地」は少なくとも713か所に上ることがわかりました。

目黒区と豊島区、そして北区は詳しい数が把握できないとして、「多数」と回答しました。内訳を見ますと、さいたま市が353件と最も多く、次いで品川区が84件、大田区が72件などとなっています。

都市部の所有者不明土地で多いのが農地や林ではなく宅地です。さいたま市のJR大宮駅前にある土地は市が道路を拡幅するため買収する計画でしたが、相続人が数十人に上ることがわかり、交渉相手が特定できず工事を進められずにいます。品川区にある住宅密集地でも細かく所有者が分かれていて、このうち8か所の所有者が不明となっています。区は救急車などが通れるようこの土地を買い取ることを検討していますが、交渉すらできない状態が続いています。

都市部での所有者不明土地の問題は高齢化が進み、相続が繰り返されるようになるとより深刻になると見られています。今回のアンケートでは、7割を超える31の市と区がこうした所有者不明土地が公共事業を進めるうえで影響したと答えました。

この問題に詳しい東京財団の吉原祥子研究員は「都市部は小さな区画に多くの所有者と相続人がいる。地価も高く権利関係の調整も難航する。人口が多い都市部で高齢化が進めば、問題解決はより難しくなるので相続登記の在り方を見直すことが必要だ」と指摘しています。

所有者不明土地とは

「所有者不明土地」とは、土地を相続しても登記の変更がされていないため、所有者がわからなくなっている土地のことです。土地を所有していることを示す登記が義務ではないため、起きるとされています。行政などが土地を買収する時、その所有者との交渉が必要となりますが、この所有者不明土地があると、それが難しくなります。

実際に、東日本大震災のあと、岩手県で住宅の高台移転を進めた時にこの所有者不明土地が見つかり復興事業が遅れる要因となりました。また、2027年に開業を目指すリニア中央新幹線の建設用地でもこうした土地が見つかりJR東海が相続人を探すなどの対応を行っています。
なぜ資産価値が高い都市部で所有者不明土地が

土地の資産価値が高い都市部の宅地で「所有者不明土地」が相次ぐ理由の1つに、狭い土地のなかに多くの相続人がいることが挙げられています。

さいたま市のJR大宮駅前にある土地。市は道路を拡幅するため買収する計画でした。しかし、相続人が数十人に上ることがわかり、交渉相手を特定することができず工事を進められずにいます。品川区でも、同様の問題が起きています。ある住宅密集地は細かく所有者が分かれていて、このうち8か所の所有者が不明となっています。区は救急車などが通れるようこの土地を買い取ろうとしていますが、交渉すらできない状態が続いています。都市部での所有者不明土地の問題は高齢化が進み、相続が繰り返されるようになるとより深刻になると見られています。

品川区木密整備推進課の高梨智之課長は「小さい土地のしかも共有の持ち分の一部の人の所在がわからなくなっている。家族間や地域とのつながりも薄くなっているので今後、所有者不明土地の発生はなかなか抑えられないのではないか」と話していました。

----------------------------------------------------------------------------------------その他の関連記事

2017.9.20 全国の私有地の2割が「所有者不明」、法務省も本格調査へ http://diamond.jp/articles/-/142725 

2017年6月30日金曜日

児童発達支援 エスペランサ in 大泉ブラジリアン・プラザ

群馬県大泉町に行く機会を得まして、以前より関心を寄せていた児童発達支援・放課後等デイサービス エスペランサさんを訪問し、お話を伺ってきました。

ブラジル出身の方が多くて知られる大泉町に、今年の3月、エスペランサ が開所しました。

場所は、日系ブラジル人コミュニティの象徴であるブラジリアン・プラザという商業施設が入る場所の一角です。

事務局長様の許可を得て、写真をいくつかアップします。

最寄は、東武鉄道西小泉駅です。


ブラジリアン・プラザの外観。


近づくと、ブラジル色の自動販売機があります。

児童発達支援・放課後等デイサービス エスペランサの入り口です。
エスペランサとは、ポルトガル語とスペイン語で、「希望」という意味です。

エスペランサの中の様子です。


ブラジル出身のお子さんの利用が多いのかと思いきや、中国、ペルー、フィリピンなど多岐にわたるそうです。

他の事業所では、言葉の壁の問題などがあると利用を断られるケースがあるとのことでした。

多くのブラジルの方は日本に働きに来ていますが、発達障害のお子さんがいる家庭では、親の就労が制限されることがあるそうです。

そうした状況で、この事業所が果たす役割は大きいです。

2008年のリーマンショック後、帰国するブラジル人が相次ぎました。
現在、ブラジリアン・プラザには、エスペランサ以外、一つの旅行会社しかはいっていませんでした。

この写真は、イベントが行えるスペースで、先週、開催されたそうです。

来年、日本定住資料館をオープン予定だそうです。ブラジル出身者らが日本に定住した歴史の資料などが展示されるとのことでした。

定住するに従い、子どもへのサポートはは中・長期で必要となります。
また、事務局長さんのお話では、日系人高齢者の介護の問題も発生しています。

東京と抱える問題の濃度や種類が少し違いますが、最終的に、解決が難しいのが「心の問題」と「生活する資金」というところは、共通していると思いました。

2017年6月17日土曜日

ブラジルの県人会のネットワーク!

今回は、ブラジルの県人会の方にご協力いただいたお話です。

県人会とは、日本からブラジル渡った多くの日系人が、日系人らが出身県やそのルーツで結束し、今でも日本に関する活動やイベントを行っている団体です。

ブラジル日本都道府県人会連合会 http://www.kenren.org.br/ja/

アオヤギ事務所では、日本で発生した相続の相続人の中に、ブラジルに渡った方やそのご子息がいるケースでの所在を捜索することを行っていますが

今回のケースでは、ブラジルの相続人の電話番号がわかったため、直接電話を試みるも、何十回に1度というレベルでしかつながらず、困っていました。

ブラジルは日本との時差が12時間ですので、こちらが電話をかける時間帯も限られています。

実は、日本側のご親族の方から私にご相談があった時点で、すでにご親族が県の国際交流協会を通じて、ブラジルの県人会にコンタクトは取られていました。

そこで、その県人会の方に私から連絡をして、ご協力願いたい旨お願いをしてみました。

すると、県人会のネットワークを通じて、2日ほどで探していた方の職場が判明したのでした!

探していた方が日系の高齢者施設にお勤めということも幸いしました。

しかも、直接、お話してくださり、地球の裏側の日本から本当にありがたく、県人会のネットワークに驚かされました。

ブラジルでは日系といっても、日本語を話す方は必然的に少なくなってきます。

ですが、ブラジルに住んでいた時に日系人の友人らにいろいろ教えてもらったり、助けてもらった私にとっては、日系の文化は残してほしいな、と思います。

ブラジル好きな私にとって、ブラジルと日本の両方の文化を持てるということは、うらやましくもあります。

よく、日本に住む日系の方がアイデンティティーに悩むことを聞きますが、ダブルの可能性を持っている、ということも知ってほしいです。