2019年9月15日日曜日

ブラジルの裁判所に提出する相続の放棄宣誓書はどうやって?

少し前になりますが、日本国籍のご夫婦の一方が海外で亡くなり、法定相続人らがブラジルの財産を放棄するための書類作成のサポートを行いました。

亡くなられた方はブラジルに相続財産があり、法定相続人は、亡くなられた方の配偶者とお子さんらでした。

これらの法定相続人は全員日本に住んでいます。

ブラジルには内縁の配偶者がおり、ブラジルの裁判所を通して日本の法定相続人にらに対して、ブラジルにある財産を放棄をしてほしいという要求が出されていました。

日本の法定相続人ら全員は、それに同意をしている状況で、後はどのような形式の書類をそろえればよいのか?という問題となりました。

ブラジル側の弁護士からは遺産放棄宣誓書の原案が送られ、日本で正式な手続きを経た書類として作成することを求められました。

当事務所では、ブラジルで相続手続きを行うケースは直接はほとんど扱ったことがありません。

色々悩んだのですが、現時点で考えられる形式での書類を用意することとしました。

弁護士から送られた放棄宣誓書の原案はポルトガル語です。そのままでは日本側の法定相続人らが理解しないため、まずは当事務所で日本語に訳しそれに公証役場で私文書のサイン証明を連名で受ける方針で進めました。

法定相続人らは公証役場に集まり、私も同行して、1枚の相続放棄宣誓書に連名でサインをおこない無事にサイン証明を受けました。

都内の公証役場だったため、公証役場で外務省のアポスティーユも付けてもらいました。(ワンストップサービス、便利!)

その後、この遺産放棄宣誓書をブラジル側に送り、ブラジル側ではおそらくブラジルの公証翻訳人にポルトガル語に翻訳を依頼し裁判所に提出することになったと思われます。

最終的に、ブラジルの内縁の配偶者が裁判所で正式な手続きを経ることができたようです。

海外の官公署が相手となる手続きは日本側はやってみないと分からない場合が多いです。
なぜなら、ほとんどのブラジルの弁護士が日本の法律や手続きを把握していないため、あちらも的確な手続き方法が分からないことがあるのです。

が、ブラジル側が要求してくる目的さえ的確に理解すれば、日本側での方針はおのずと決まってくると思います。

ブラジルの相続についてもお困りの際はアオヤギ事務所にご相談ください!
手探りでも、何とかがんばります(笑)
https://officeaoyagi.com

2019年9月13日金曜日

日本語ボランティア対象の研修を行いました

先日、練馬区の文化交流ひろばで、日本語ボランティア実践研修を行いました。


日頃、日本に住む外国人に日本語を教えるボランティアをしている方々を中心にお集まりいただきました。
「日本に住む外国人のビザの基本を学び外国人相談の現場で見える課題を一緒に考えます」というテーマで、私が担当している外国人向けの相談センターで受ける相談について、そして外国人政策への不満(笑)なども時々交えてお話をさせていただきました。



外国人の在留資格の基本的な知識から、新たな「特定技能」についても解説しました。
言葉が通じないことを体験していただくために、ジェスチャーゲームを交えました。
身振り手振りで自分が伝えたいことをジェスチャーして、メッセージを受け取る側は一生懸命考えます。


日頃外国人の方に接している方が多いようですが、入管の手続きや制度については初めて聞くこともあったようで、非常に熱心に聞いてくださりました。

最後に事例の検討をグループで行った際は、活発な議論や疑問が出ました。

今後も、外国人の在留手続きに興味を持っていただければ嬉しいです。

2019年9月6日金曜日

ブラジルで養子の場合、出生証明書の表記はどうなる?

9月に入りました、もうすぐ涼しくなるでしょうか!

さて、先日、ブラジルで養子縁組がされた養子の方が相続人となった案件で、出生証明書に養子の事実が記載されていない(=養父母が通常通り両親の欄に記載されている)ため、他に養子縁組を証明する書類を必要としなかったケースがありましたので、ブラジルの法律について少しご紹介します。


ブラジルでは、養子縁組をした場合、元の親子関係は出生証明書に記載されません。

つまり、新しい出生証明書に養子である記載はされず、「両親」として養父母の情報が記載されます。

ブラジルの民法第10条では、身分関係の変動の際の登録について、欄外注記をする事項について定めていますが、IIIの養子縁組については取り消し線が引かれています。

ブラジル民法 ブラジル政府HP 

Art. 10. Far-se-á averbação em registro público:
I - das sentenças que decretarem a nulidade ou anulação do casamento, o divórcio, a separação judicial e o restabelecimento da sociedade conjugal;
II - dos atos judiciais ou extrajudiciais que declararem ou reconhecerem a filiação;
III - dos atos judiciais ou extrajudiciais de adoção. (Revogado pela Lei nº 12.010, de 2009)

以下、概訳です。
登記において欄外注記がなされる:
I - 婚姻の無効又は取消し、離婚、法定別居、社会的配偶者関係が回復したことが判決で決定した場合
II - 裁判上または裁判外において子の宣誓がされた、又は認知した場合
III - 裁判上または裁判外において養子縁組がされた場合(2009年の法令12010により廃止)

尚、ブラジル民法1626条では、以下のように元の親子、親族関係は断絶されると規定されています。
日本で言う特別養子縁組の場合だけでなく、ブラジルでは全ての養子縁組について本来の親子関係が解消されます。

Art. 1.626. A adoção atribui a situação de filho ao adotado, desligando-o de qualquer vínculo com os pais e parentes consangüíneos, salvo quanto aos impedimentos para o casamento.
Parágrafo único. Se um dos cônjuges ou companheiros adota o filho do outro, mantêm-se os vínculos de filiação entre o adotado e o cônjuge ou companheiro do adotante e os respectivos parentes.

1626条 養子縁組の親子関係は、婚姻に障害の場合を除き、両親と血族との全ての関係は断絶される。
単項 一方の配偶者またはパートナーがもう一方の子を養子にした場合は、養子と配偶者又は養親のパートナーとの親子関係と親戚関係は維持される。

注)日本語訳については参考程度でご覧ください。お気づきの点はご連絡ください。

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2019年8月30日金曜日

マカオ生まれのポルトガル国籍? 香港生まれで英国領事館で書類取得?

マカオ、知っていますか?

アジアの中でポルトガル語が公用語になっているところで、場所は香港のすぐ近くにあります。一度行ってみたいです。

先日、マカオ生まれポルトガル国籍の方と香港生まれの方から日本で婚姻するためにお引き受けした翻訳依頼の書類の複雑に、頭を整理する時間が必要でした(笑)

依頼された書類がこちら。
  • 香港の方の香港特別行政区発行の出生証明書(英語と中国語の併記)をポルトガル語に翻訳
  • 香港の方の在東京英国領事館発行の婚姻要件確約書(英語と日本語の併記)をポルトガル語に翻訳
  • マカオの方のマカオ特別行政区発行の出生証明書(ポルトガル語と中国語の併記)を日本語に翻訳

何でこんなにややこしいのかっていうと、、、

香港の方が生まれたのがイギリス領の時代、つまり香港の中国返還前でした。
そして、マカオ生まれの方は、マカオがポルトガル領の時代に生まれました。

この時はじめて、在東京英国領事館で香港の方が婚姻要件確約書が作成できることを知りました。

また、ポルトガル領時代のマカオに生まれで両親いずれかがポルトガル国籍なら、ポルトガル国籍を取得できたとか。
つまり、ポルトガルの市民権やEUの市民権、EU加盟国内の居住、就労の自由があるんですね。

ポルトガル、そういうところ受け入れ上手というか。

かつて、ブラジルを植民地化したポルトガルが、他の南米のスペイン圏が現地の人と対立をしたのとは違い、現地のインディオと家族を作ることで植民地化を進めていった、そんなポルトガル人気質がマカオにも表れているなーとおもいました。

2019年8月26日月曜日

被相続人が日本人、相続人がブラジル人の場合の準拠法と相続順位

日本で亡くなった被相続人が日本人でも、法定相続人を調べたらブラジルに移民した親族が相続人になったというケースがあります。その場合の相続の準拠法はどうなるのかを解説します。

注意)この記事は2019年8月26日現在のもので、規定は現時点によります。
訳に関する一切の責任は負いません。無断転載を固く禁じます。
お気づきの点がありましたら、お知らせください。


まず、日本に住む日本国籍の方が亡くなった場合、相続は日本の法律が適用されます。

【日本法】法の適用に関する通則法(通則法)
第三十六条  相続は、被相続人の本国法による。

相続人に当たるブラジルの親族が既に亡くなっているケースだと代襲相続が発生していることがあります。

亡くなったブラジル在住者が日本国籍を持っていれば日本法が適用されますが、2世や3世の代では親がわざわざ日本領事館に出生届を行って国籍の留保を行わず、持っている国籍はブラジル国籍のみ(ブラジルは生地主義)となっているケースが多々見受けられます。

代襲相続が発生し、ブラジル国籍者がブラジルで亡くなった被相続人である場合は、上記の通則法通則法36条の規定によりブラジル法が準拠法になります。

そこで、ブラジル法を適用した相続の相続順位について訳文(アオヤギ事務所訳)とともに解説します。


ブラジルの相続法はブラジル民法で定めらています。
現在は2003年に施行された新民法になっていますが、それ以前に亡くなった場合は旧民法が適用されます。

  • 2002年1月10日制定 新民法 法令10406 2003年1月11日施行 
ブラジル政府ウェブサイト 新民法の全文を掲載しているページ(ポルトガル語)http://www.planalto.gov.br/ccivil_03/LEIS/2002/L10406.htm

  • 1916年1月1日制定 旧民法 法令3071 
ブラジル政府ウェブサイト 旧民法の全文を掲載しているページ(ポルトガル語)http://www.planalto.gov.br/ccivil_03/LEIS/L3071.htm → 2003年1月11日の新民法施行時に廃止。

まず、新民法の規定を見ます。


【ブラジル法】新民法 
Art. 1.787. Regula a sucessão e a legitimação para suceder a lei vigente ao tempo da abertura daquela.
1787条  相続と相続資格について、相続が開始した時点において有効な法律を適用する。

Art. 2.041. As disposições deste Código relativas à ordem da vocação hereditária (arts. 1.829 a 1.844) não se aplicam à sucessão aberta antes de sua vigência, prevalecendo o disposto na lei anterior
2041条 1829条から1844にあるこの民法典の相続の順位の規定は、旧法の規定が優先し、施行前に開始した相続にはついては適用されない。

そして、ブラジルの新民法で相続順位は以下のように定められています。
Art. 1.829. A sucessão legítima defere-se na ordem seguinte:
1829条 法定相続は、次の順位で決定される。
I - aos descendentes, em concorrência com o cônjuge sobrevivente, salvo se casado este com o falecido no regime da comunhão universal, ou no da separação obrigatória de bens (art. 1.640, parágrafo único); ou se, no regime da comunhão parcial, o autor da herança não houver deixado bens particulares;
I 生存配偶者とともに直系卑属。ただし、故人と全部財産共産制または義務的夫婦別産制で婚姻していた場合(1640条 単項)、または、一部共産制のもと、被相続人が固有の財産を残さなかった場合を除く。
II - aos ascendentes, em concorrência com o cônjuge;
II 配偶者とともに直系尊属
III - ao cônjuge sobrevivente;
III 生存配偶者
IV - aos colaterais.
IV 傍系血族

Art. 1.844. Não sobrevivendo cônjuge, ou companheiro, nem parente algum sucessível, ou tendo eles renunciado a herança, esta se devolve ao Município ou ao Distrito Federal, se localizada nas respectivas circunscrições, ou à União, quando situada em território federal.
1844条 生存配偶者又はパートナー、更には相続する親族がいない場合、又は、それらの者が遺産を放棄した場合は、国内に所在する場合は、遺産はふさわしい行政区に所在する自治体又は連邦区、又は国家に帰属する。

遡って、ブラジルの旧民法での相続順位は以下のように定められています。
Art. 1.603. A sucessão legítima defere-se na ordem seguinte:
1603条 法定相続は以下の順位に与えられる。
I - Aos descendentes.
I -  直系卑属
II - Aos ascendentes.
II - 直系尊属
III - Ao cônjuge sobrevivente.
III - 生存している配偶者
IV - Aos colaterais.
IV - 傍系血族
V - Aos Estados, ao Distrito Federal ou a União.
V - 州、連邦府又は、国

Art. 1.606. Não havendo herdeiros da classe dos descendentes, são chamados a sucessão os ascendentes.
1606条 直系卑属がいない場合は、直系尊属が相続人となる。

実際には、上記の他にも相続順位が細かく定められており、法定相続分についても規定されています。

日本で相続が開始した案件において、どこまで厳格にブラジル法を検討するのか、という点においても考慮する必要があるかもしれません。


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2019年8月23日金曜日

ブラジルに相続分を国際送金するときのポイント

ブラジルの相続手続きの中で、まとまった金額をブラジルにいる相続人に国際送金をしなければならないケースがあります。

国内間の送金と違う点は;

  • 国際送金の手数料が国内より高く、送金元の銀行や海外送金サービス機関でかかる手数料が各社によって異なる
  • ブラジルに着金してからも手数料がかかることがある
  • 送金の際に、ブラジルの受取人のCPF(納税者番号)が必要
  • 受取人が予め受け取り銀行で日本から海外送金を受けることを相談し、着金後、口座から引き出すことが出来るよう準備

だいたい、こんな感じです。
ブラジルでは、マネーロンダリングの規制が厳しく、海外からの送金には特に厳しく管理されています。

また、相続分についてブラジル国内で税金の申告をしなければならず、日本側で相続があったことの証明書が求められることがあります。

日本で裁判によって相続分割がされる場合は公的な証明書がありますが、法務局や銀行で遺産分割協議で分割を行った場合は、公的な立証資料がありません。

そのため、アオヤギ事務所では適宜、そうした証明書を作成してブラジルに送ることもあります。

ブラジルに関する相続でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
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2019年7月2日火曜日

ブラジルの出生証明書 最先端な電子印を採用

ブラジル在住者の渉外相続の手続きをサポートしている行政書士・ポルトガル語翻訳者の青柳りつ子です。 https://www.officeaoyagi.com/

当事務所では出生証明書の翻訳をよくお受けします。
このお仕事を始めて11年目。以前に比べると、ブラジルの証明書はずいぶんと電子化されました。

最近発行されたものだと、全国的にフォーマットがだいたい同じです。

それに加えて、その証明書の信ぴょう性が確認できるように、電子印が付されます。

例えば、出生証明書の下に、電子印の番号とQRコードがあります。

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