2019年9月15日日曜日

ブラジルの裁判所に提出する相続の放棄宣誓書はどうやって?

少し前になりますが、日本国籍のご夫婦の一方が海外で亡くなり、法定相続人らがブラジルの財産を放棄するための書類作成のサポートを行いました。

亡くなられた方はブラジルに相続財産があり、法定相続人は、亡くなられた方の配偶者とお子さんらでした。

これらの法定相続人は全員日本に住んでいます。

ブラジルには内縁の配偶者がおり、ブラジルの裁判所を通して日本の法定相続人にらに対して、ブラジルにある財産を放棄をしてほしいという要求が出されていました。

日本の法定相続人ら全員は、それに同意をしている状況で、後はどのような形式の書類をそろえればよいのか?という問題となりました。

ブラジル側の弁護士からは遺産放棄宣誓書の原案が送られ、日本で正式な手続きを経た書類として作成することを求められました。

当事務所では、ブラジルで相続手続きを行うケースは直接はほとんど扱ったことがありません。

色々悩んだのですが、現時点で考えられる形式での書類を用意することとしました。

弁護士から送られた放棄宣誓書の原案はポルトガル語です。そのままでは日本側の法定相続人らが理解しないため、まずは当事務所で日本語に訳しそれに公証役場で私文書のサイン証明を連名で受ける方針で進めました。

法定相続人らは公証役場に集まり、私も同行して、1枚の相続放棄宣誓書に連名でサインをおこない無事にサイン証明を受けました。

都内の公証役場だったため、公証役場で外務省のアポスティーユも付けてもらいました。(ワンストップサービス、便利!)

その後、この遺産放棄宣誓書をブラジル側に送り、ブラジル側ではおそらくブラジルの公証翻訳人にポルトガル語に翻訳を依頼し裁判所に提出することになったと思われます。

最終的に、ブラジルの内縁の配偶者が裁判所で正式な手続きを経ることができたようです。

海外の官公署が相手となる手続きは日本側はやってみないと分からない場合が多いです。
なぜなら、ほとんどのブラジルの弁護士が日本の法律や手続きを把握していないため、あちらも的確な手続き方法が分からないことがあるのです。

が、ブラジル側が要求してくる目的さえ的確に理解すれば、日本側での方針はおのずと決まってくると思います。

ブラジルの相続についてもお困りの際はアオヤギ事務所にご相談ください!
手探りでも、何とかがんばります(笑)
https://officeaoyagi.com

2019年9月13日金曜日

日本語ボランティア対象の研修を行いました

先日、練馬区の文化交流ひろばで、日本語ボランティア実践研修を行いました。


日頃、日本に住む外国人に日本語を教えるボランティアをしている方々を中心にお集まりいただきました。
「日本に住む外国人のビザの基本を学び外国人相談の現場で見える課題を一緒に考えます」というテーマで、私が担当している外国人向けの相談センターで受ける相談について、そして外国人政策への不満(笑)なども時々交えてお話をさせていただきました。



外国人の在留資格の基本的な知識から、新たな「特定技能」についても解説しました。
言葉が通じないことを体験していただくために、ジェスチャーゲームを交えました。
身振り手振りで自分が伝えたいことをジェスチャーして、メッセージを受け取る側は一生懸命考えます。


日頃外国人の方に接している方が多いようですが、入管の手続きや制度については初めて聞くこともあったようで、非常に熱心に聞いてくださりました。

最後に事例の検討をグループで行った際は、活発な議論や疑問が出ました。

今後も、外国人の在留手続きに興味を持っていただければ嬉しいです。

2019年9月6日金曜日

ブラジルで養子の場合、出生証明書の表記はどうなる?

9月に入りました、もうすぐ涼しくなるでしょうか!

さて、先日、ブラジルで養子縁組がされた養子の方が相続人となった案件で、出生証明書に養子の事実が記載されていない(=養父母が通常通り両親の欄に記載されている)ため、他に養子縁組を証明する書類を必要としなかったケースがありましたので、ブラジルの法律について少しご紹介します。


ブラジルでは、養子縁組をした場合、元の親子関係は出生証明書に記載されません。

つまり、新しい出生証明書に養子である記載はされず、「両親」として養父母の情報が記載されます。

ブラジルの民法第10条では、身分関係の変動の際の登録について、欄外注記をする事項について定めていますが、IIIの養子縁組については取り消し線が引かれています。

ブラジル民法 ブラジル政府HP 

Art. 10. Far-se-á averbação em registro público:
I - das sentenças que decretarem a nulidade ou anulação do casamento, o divórcio, a separação judicial e o restabelecimento da sociedade conjugal;
II - dos atos judiciais ou extrajudiciais que declararem ou reconhecerem a filiação;
III - dos atos judiciais ou extrajudiciais de adoção. (Revogado pela Lei nº 12.010, de 2009)

以下、概訳です。
登記において欄外注記がなされる:
I - 婚姻の無効又は取消し、離婚、法定別居、社会的配偶者関係が回復したことが判決で決定した場合
II - 裁判上または裁判外において子の宣誓がされた、又は認知した場合
III - 裁判上または裁判外において養子縁組がされた場合(2009年の法令12010により廃止)

尚、ブラジル民法1626条では、以下のように元の親子、親族関係は断絶されると規定されています。
日本で言う特別養子縁組の場合だけでなく、ブラジルでは全ての養子縁組について本来の親子関係が解消されます。

Art. 1.626. A adoção atribui a situação de filho ao adotado, desligando-o de qualquer vínculo com os pais e parentes consangüíneos, salvo quanto aos impedimentos para o casamento.
Parágrafo único. Se um dos cônjuges ou companheiros adota o filho do outro, mantêm-se os vínculos de filiação entre o adotado e o cônjuge ou companheiro do adotante e os respectivos parentes.

1626条 養子縁組の親子関係は、婚姻に障害の場合を除き、両親と血族との全ての関係は断絶される。
単項 一方の配偶者またはパートナーがもう一方の子を養子にした場合は、養子と配偶者又は養親のパートナーとの親子関係と親戚関係は維持される。

注)日本語訳については参考程度でご覧ください。お気づきの点はご連絡ください。

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2019年8月30日金曜日

マカオ生まれのポルトガル国籍? 香港生まれで英国領事館で書類取得?

マカオ、知っていますか?

アジアの中でポルトガル語が公用語になっているところで、場所は香港のすぐ近くにあります。一度行ってみたいです。

先日、マカオ生まれポルトガル国籍の方と香港生まれの方から日本で婚姻するためにお引き受けした翻訳依頼の書類の複雑に、頭を整理する時間が必要でした(笑)

依頼された書類がこちら。
  • 香港の方の香港特別行政区発行の出生証明書(英語と中国語の併記)をポルトガル語に翻訳
  • 香港の方の在東京英国領事館発行の婚姻要件確約書(英語と日本語の併記)をポルトガル語に翻訳
  • マカオの方のマカオ特別行政区発行の出生証明書(ポルトガル語と中国語の併記)を日本語に翻訳

何でこんなにややこしいのかっていうと、、、

香港の方が生まれたのがイギリス領の時代、つまり香港の中国返還前でした。
そして、マカオ生まれの方は、マカオがポルトガル領の時代に生まれました。

この時はじめて、在東京英国領事館で香港の方が婚姻要件確約書が作成できることを知りました。

また、ポルトガル領時代のマカオに生まれで両親いずれかがポルトガル国籍なら、ポルトガル国籍を取得できたとか。
つまり、ポルトガルの市民権やEUの市民権、EU加盟国内の居住、就労の自由があるんですね。

ポルトガル、そういうところ受け入れ上手というか。

かつて、ブラジルを植民地化したポルトガルが、他の南米のスペイン圏が現地の人と対立をしたのとは違い、現地のインディオと家族を作ることで植民地化を進めていった、そんなポルトガル人気質がマカオにも表れているなーとおもいました。

2019年8月26日月曜日

被相続人が日本人、相続人がブラジル人の場合の準拠法と相続順位

日本で亡くなった被相続人が日本人でも、法定相続人を調べたらブラジルに移民した親族が相続人になったというケースがあります。その場合の相続の準拠法はどうなるのかを解説します。

注意)この記事は2019年8月26日現在のもので、規定は現時点によります。
訳に関する一切の責任は負いません。無断転載を固く禁じます。
お気づきの点がありましたら、お知らせください。


まず、日本に住む日本国籍の方が亡くなった場合、相続は日本の法律が適用されます。

【日本法】法の適用に関する通則法(通則法)
第三十六条  相続は、被相続人の本国法による。

相続人に当たるブラジルの親族が既に亡くなっているケースだと代襲相続が発生していることがあります。

亡くなったブラジル在住者が日本国籍を持っていれば日本法が適用されますが、2世や3世の代では親がわざわざ日本領事館に出生届を行って国籍の留保を行わず、持っている国籍はブラジル国籍のみ(ブラジルは生地主義)となっているケースが多々見受けられます。

代襲相続が発生し、ブラジル国籍者がブラジルで亡くなった被相続人である場合は、上記の通則法通則法36条の規定によりブラジル法が準拠法になります。

そこで、ブラジル法を適用した相続の相続順位について訳文(アオヤギ事務所訳)とともに解説します。


ブラジルの相続法はブラジル民法で定めらています。
現在は2003年に施行された新民法になっていますが、それ以前に亡くなった場合は旧民法が適用されます。

  • 2002年1月10日制定 新民法 法令10406 2003年1月11日施行 
ブラジル政府ウェブサイト 新民法の全文を掲載しているページ(ポルトガル語)http://www.planalto.gov.br/ccivil_03/LEIS/2002/L10406.htm

  • 1916年1月1日制定 旧民法 法令3071 
ブラジル政府ウェブサイト 旧民法の全文を掲載しているページ(ポルトガル語)http://www.planalto.gov.br/ccivil_03/LEIS/L3071.htm → 2003年1月11日の新民法施行時に廃止。

まず、新民法の規定を見ます。


【ブラジル法】新民法 
Art. 1.787. Regula a sucessão e a legitimação para suceder a lei vigente ao tempo da abertura daquela.
1787条  相続と相続資格について、相続が開始した時点において有効な法律を適用する。

Art. 2.041. As disposições deste Código relativas à ordem da vocação hereditária (arts. 1.829 a 1.844) não se aplicam à sucessão aberta antes de sua vigência, prevalecendo o disposto na lei anterior
2041条 1829条から1844にあるこの民法典の相続の順位の規定は、旧法の規定が優先し、施行前に開始した相続にはついては適用されない。

そして、ブラジルの新民法で相続順位は以下のように定められています。
Art. 1.829. A sucessão legítima defere-se na ordem seguinte:
1829条 法定相続は、次の順位で決定される。
I - aos descendentes, em concorrência com o cônjuge sobrevivente, salvo se casado este com o falecido no regime da comunhão universal, ou no da separação obrigatória de bens (art. 1.640, parágrafo único); ou se, no regime da comunhão parcial, o autor da herança não houver deixado bens particulares;
I 生存配偶者とともに直系卑属。ただし、故人と全部財産共産制または義務的夫婦別産制で婚姻していた場合(1640条 単項)、または、一部共産制のもと、被相続人が固有の財産を残さなかった場合を除く。
II - aos ascendentes, em concorrência com o cônjuge;
II 配偶者とともに直系尊属
III - ao cônjuge sobrevivente;
III 生存配偶者
IV - aos colaterais.
IV 傍系血族

Art. 1.844. Não sobrevivendo cônjuge, ou companheiro, nem parente algum sucessível, ou tendo eles renunciado a herança, esta se devolve ao Município ou ao Distrito Federal, se localizada nas respectivas circunscrições, ou à União, quando situada em território federal.
1844条 生存配偶者又はパートナー、更には相続する親族がいない場合、又は、それらの者が遺産を放棄した場合は、国内に所在する場合は、遺産はふさわしい行政区に所在する自治体又は連邦区、又は国家に帰属する。

遡って、ブラジルの旧民法での相続順位は以下のように定められています。
Art. 1.603. A sucessão legítima defere-se na ordem seguinte:
1603条 法定相続は以下の順位に与えられる。
I - Aos descendentes.
I -  直系卑属
II - Aos ascendentes.
II - 直系尊属
III - Ao cônjuge sobrevivente.
III - 生存している配偶者
IV - Aos colaterais.
IV - 傍系血族
V - Aos Estados, ao Distrito Federal ou a União.
V - 州、連邦府又は、国

Art. 1.606. Não havendo herdeiros da classe dos descendentes, são chamados a sucessão os ascendentes.
1606条 直系卑属がいない場合は、直系尊属が相続人となる。

実際には、上記の他にも相続順位が細かく定められており、法定相続分についても規定されています。

日本で相続が開始した案件において、どこまで厳格にブラジル法を検討するのか、という点においても考慮する必要があるかもしれません。


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2019年8月23日金曜日

ブラジルに相続分を国際送金するときのポイント

ブラジルの相続手続きの中で、まとまった金額をブラジルにいる相続人に国際送金をしなければならないケースがあります。

国内間の送金と違う点は;

  • 国際送金の手数料が国内より高く、送金元の銀行や海外送金サービス機関でかかる手数料が各社によって異なる
  • ブラジルに着金してからも手数料がかかることがある
  • 送金の際に、ブラジルの受取人のCPF(納税者番号)が必要
  • 受取人が予め受け取り銀行で日本から海外送金を受けることを相談し、着金後、口座から引き出すことが出来るよう準備

だいたい、こんな感じです。
ブラジルでは、マネーロンダリングの規制が厳しく、海外からの送金には特に厳しく管理されています。

また、相続分についてブラジル国内で税金の申告をしなければならず、日本側で相続があったことの証明書が求められることがあります。

日本で裁判によって相続分割がされる場合は公的な証明書がありますが、法務局や銀行で遺産分割協議で分割を行った場合は、公的な立証資料がありません。

そのため、アオヤギ事務所では適宜、そうした証明書を作成してブラジルに送ることもあります。

ブラジルに関する相続でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
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2019年7月2日火曜日

ブラジルの出生証明書 最先端な電子印を採用

ブラジル在住者の渉外相続の手続きをサポートしている行政書士・ポルトガル語翻訳者の青柳りつ子です。 https://www.officeaoyagi.com/

当事務所では出生証明書の翻訳をよくお受けします。
このお仕事を始めて11年目。以前に比べると、ブラジルの証明書はずいぶんと電子化されました。

最近発行されたものだと、全国的にフォーマットがだいたい同じです。

それに加えて、その証明書の信ぴょう性が確認できるように、電子印が付されます。

例えば、出生証明書の下に、電子印の番号とQRコードがあります。

拡大します!

2019年6月6日木曜日

試験の合格が必須になる介護福祉士資格と 在留資格「介護」

在留資格「介護」は、2017年(H.29) 9月1日から施行されました。

以前、アオヤギブログの記事「外国人の介護職- 在留資格「介護」の創設と技能実習の対象職種へ 解説」にも書きましたが、今回まずは、介護福祉士資格の制度の変更点について、その後、外国人の在留資格「介護」とどのように関連するのかを書いていきます。

​​​介護福祉士の資格は、2022年 (令和4年) 4月入学者からは養成校を卒業しただけでは取得できなくな​ります。

現在は​経過措置として、2022年(令和4年)3月31日までに介護福祉士養成施設を卒業した人については​今まで通り​介護福祉士の資格が付与され、卒業年度の翌年度から5年間は介護福祉士となる資格を有する者と​されます。

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社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律(平成19年法律第125号)(以下「新法」という。)の施行により、平成29年4月1日から介護福祉士養成施設卒業者も介護福祉士となる(介護福祉士登録を受ける)には介護福祉士試験に合格しなければならない(新法第39条)こととなりましたが、新法の施行(平成29年4月1日)から平成34年(令和4年)3月31日までに介護福祉士養成施設を卒業した者については、介護福祉士試験に合格しなくても(不合格又は受験しなかった者)、卒業年度の翌年度から5年間は介護福祉士となる資格を有する者とする経過措置が設けられています。
出典:公益財団法人社会福祉振興・試験センター 「資格登録のお知らせ」http://www.sssc.or.jp/touroku/info/info_keika.html
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卒業5年経過以降も介護福祉士の資格を維持するためには、5年間続けて介護等の業務に従事するか5年の間に介護福祉士の試験に合格することが必要です。

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「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正により、平成29年度(第30回)から、養成施設ルートが介護福祉士国家試験の受験資格となりました。なお、養成施設を令和3年末までに卒業する方は、卒業後5年の間は、国家試験を受験しなくても、または、合格しなくても、介護福祉士になることができます。この間に国家試験に合格するか、卒業後5年間続けて介護等の業務に従事することで、5年経過後も介護福祉士の登録を継続することができます。平成34年度以降に養成施設を卒業する方からは、国家試験に合格しなければ介護福祉士になることはできません。
出典:公益財団法人社会福祉振興・試験センター 「資格取得ルート図」http://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/route.html
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​外国人の在留資格の視点で考えてみると、入管法で、在留資格「介護」の活動は次のように定められています。​

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- ​本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動
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さらに、​​要件を定める基準省令では​:​
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申請人が次のいずれにも該当していること。
一 ​​​​社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号)第四十条第二項第一号から第三号までのいずれかに該当すること。
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とあります。

社会福祉士及び介護福祉士法 第四十条第二項第一号から第三号とは、いわゆる養成​施設​​の卒業​を指しています。

2022年(令和4年)3月31日までに卒業する外国人は、卒業後5年間、「介護」の在留資格で従事していれば介護福祉士資格を維持できるので、それまでに入学される方のほうが資格取得は目指しやすいようです。

2022年 (令和4年)4月の入学者以降は、卒業時に介護福祉士に合格しなかったら、在留資格はどのような措置になるのか疑問が残ります。

2019年3月10日日曜日

ブラジル人の失踪宣告について

ブラジルの渉外相続の手続きをサポートしている行政書士・ポルトガル語翻訳者の青柳りつ子です。 https://www.officeaoyagi.com/

相続手続きを行っていると、行方不明になっている方がいる場合があります。

日本国籍の方であれば、日本の裁判所で失踪宣告や不在者財産管理人の選任を申し立てるなど、手続きの方法があります。

では、ブラジル国内でブラジル人が行方不明となった場合はどうなるのでしょうか。
以下に検討をしてみますが、結論として、確定的な方法はありま。。。せん ^^;
事案ごとに検討が必要となります。

日本の法律「法の適用に関する通則法(通則法)」には、
36条 第三十六条  相続は、被相続人の本国法による。

とあります。
亡くなった人が日本人であれば、ブラジル国内で行方不明となったブラジル人でも日本法で手続きが進められる可能性があります。

「可能性」と書いたのは、実際に家庭裁判所に申し立てを行ってみないと、分からないからです。

もう一つの方法として、ブラジル国内で失踪宣告の手続きを行う可能性について検討してみます。

ブラジル民法典に不在者について定められています。
不在者が死亡推定となるには、2通りあります。

1. 失踪宣告なし → ブラジル民法7条規定。戦地や航空機事故で状況的に死亡の可能性が大きい場合
2. 失踪宣告あり → ブラジル民法6条 自然人の存在は死亡とともに終了する。不在者については、法律で確定相続の開始を許可した場合に推定される。

一般的には、蒸発や家出による失踪ですので、「失踪宣告あり」のケースが多いと思われます。
「失踪宣告あり」の場合、死亡推定に至るまでには、以下の3段階の手続きがあり、最後の確定的な相続開始が許可された時に死亡推定ととなります。

1)不在者の財産管理期:裁判所が不在者の財産を接収、不在者財産管理人を指名して1年間 → 不在者を管轄する登記所に失踪宣告が登記される
2)暫定的な相続の開始期:1)の期間を経過後、暫定的な相続開始となり10年間。
3) 相続確定期:前段階の確定後10年を経過し、確定的に相続手続き → 死亡推定

各段階で裁判所での手続きが必要です。
ブラジルの裁判所は予定通りに進まないのが一般的です。

以上のことから、ブラジル国内で死亡推定まで進めることは、通常は現実的な方法ではないと思われます。

ということで、日本で手続きを進めることを検討するに至ります。

2019年2月5日火曜日

ブラジルで亡くなった日本人の死亡届がされていない!どうする!?

ブラジル在住者の渉外相続の手続きをサポートしている行政書士・ポルトガル語翻訳者の青柳りつ子です。 https://www.officeaoyagi.com/

日本ではもうすぐ、スギ花粉が到来します。。。戦々恐々。。。。

さて、今回は、ブラジルで亡くなった日本人の死亡届がなされていない場合についてです。

渉外相続の手続きに関わっていると、だいぶ前にブラジルで亡くなった日本人が戸籍上では、まだ生存していることがよくあります。

つまり、死亡届がブラジルの日本領事館でされていないのです。

ブラジルでは、外国人もブラジル人と同様に、死亡の事実が登記所(Cartório カルトリオ)で登記されます。

亡くなった人の子どもや家族は、登記所に届け出た時点で手続きが済んだと思い込んでいたり、そもそも亡くなった人が日本国籍者であることを忘れて手続きをしないままにしていることが良くあります。

そうした届出がされていない場合は、何年遅くなってでも死亡届を行ってください!

下記、在サンパウロ日本総領事館のホームページにある案内を転載します。
https://www.sp.br.emb-japan.go.jp/itpr_ja/registro1_jp.html

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Q. 日本人である祖父母、父母の死亡届をしていません。何か不都合は?
A. 死亡している方の死亡事実が戸籍に記載されず、除籍されないため、次のような不都合が起きることが考えられます
(1) 相続の時に、死亡している方が生存していると見られてしまい、相続の手続に支障が生じる。  
(2) 生存する配偶者の再婚の届出ができない。
(3) 死亡している方が生まれた子の父と誤って認定されうる。
(4) 死亡した方が手続きをすべき戸籍国籍の届出など各種手続に関し、死亡した方の子や親族が死亡した方に代わって手続をするには、死亡した方に関する死亡届がされていることが前提となる。

 死亡届の届出期間は3か月ですが、届出そのものに期限はありません。届出の義務が果たされず、戸籍に記載されないことで、子や孫に不都合を引き継がないため、死亡届を忘れずに提出しましょう。
 詳しくは、戸籍国籍班(電話 (11) 3254-0100)までお問い合わせ願います。


Q.日本人がサンパウロで死亡したときは?(死亡届)
A. 死亡届を忘れずに提出しましょう。
 日本人が死亡した場合、同居の親族、同居者、医師、住居の管理者などは、死亡の事実を知った日から3か月以内に、死亡届をする必要があります。また、親族であれば同居していなくても、死亡届を提出することができます。
 死亡届の提出書面は次のとおりです。
(1) 死亡証明書(CERTIDÃO DE ÓBITO)認証付き写し(コピアアウテンチカーダ)2部(1部はコピアアウテンチカーダのコピーで可)
(2) 日本語訳文2部
(3) 死亡届書2部(署名以外の部分はコピーしたもの又はパソコン等により入力・印刷したもので可)
なお、死亡者がブラジル方式の婚姻について婚姻届を提出していない場合は、死亡届の前に婚姻事項を戸籍に記載する必要があります。
詳しくは、戸籍国籍班(電話 (11) 3254-0100)までお問い合わせ願います。----------------------------------------------------------------------------------------

ブラジルの日本領事館で死亡届がなされた場合、日本の戸籍に反映されるには、1~2か月要します。

もし、日本側の親族が直接、役所に死亡届をしたい場合は、ブラジルの死亡証明書(CERTIDÃO DE ÓBITO)と日本語訳を添えて行うことも可能です。

本来、海外で日本人が死亡したときは3か月以内に届け出の義務があります。
ですので、遅延理由を書面で提出することを求められるかもしれません。

ですが、死亡届が出されないことには、相続手続きを正しく進めることができなくなります。

ブラジルが絡む渉外相続のご相談をお受けしています。
アオヤギ行政書士事務所 https://www.officeaoyagi.com/




2019年1月14日月曜日

ブラジル在住者の失踪宣告を申し立てた事例

ブラジル在住者の渉外相続の手続きをサポートしている行政書士・ポルトガル語翻訳者の青柳りつ子です。

今年はインフルエンザA型が大流行していますね。年末に我が家でもその流行に乗った人が一名おり、戦々恐々としました。

さて今回は、当事務所で扱ったブラジル在住者が絡む相続手続きの中で、日本の裁判所で失踪宣告を申立てた事例をご紹介します。

個人情報の特定がされない範囲で、また、アオヤギ事務所が行うサポート業務の立場から説明しますので、具体的な失踪宣告の申立てについては、家庭裁判所や弁護士、司法書士へのご相談をお勧めします。

このケースは日本側のご親族からアオヤギ事務所に相談があり、ブラジル側の親族を捜索するところから始まりました。

各所に捜索の協力願を行ってから間もなく、ブラジルの県人会の会長さんにご協力をいただき、無事に相続人の方々が見つかり、連絡が取れるようになりました。

ところが、相続人になるご兄弟の一人Aさんが、幼少のころに亡くなっていたことが分かりました。

このAさんは、戸籍に出生届は記載されているものの、死亡届が出されていませんでした。

この相続人の確定段階で、この死亡届をどうするかについて検討する必要姓が出てきました。

まずは、存命中のご兄弟らから当時の詳細の聞き取りを行いました。

ブラジルのアマゾン奥地の日本人植民地に移住した兄弟の両親は、59年前、Aさんが生まれた10日後に、在ブラジル日本領事館に出生届と国籍の留保の届け出を行いました。

Aさんは1歳のとき高熱を出しましたが、奥地であったため、家族がすぐに病院に連れていくことができず、そこで亡くなりました。

亡くなった後、日本政府から派遣された日本の植民地を周期的に巡回訪問していた医師により、死因は髄膜炎と結論づけられたようです。

今回聞き取りを行った兄弟らは、埋葬に参列しておらず、両親や近隣の大人たちで行われたため、誰が参列したか覚えておらず、聞いた話を記憶しているだけとのことでした。

葬儀はほんの短い儀式のみで、両親は埋葬するところまでは行かなかったようです。
ご兄弟は、「それが日本の習慣なのか分からないけれど」と説明してくれました。

本来なら、日本人がブラジルで亡くなった場合、まずは現地の登記所で死亡登記を行った後、在ブラジル日本領事館に届け出る必要がありますが、今回のケースでは、両親が現地で死亡届を行った形跡が一切なく、更に、墓地や墓標などの記録、写真も残されておらず、ご兄弟らの記憶に頼るしか証明する方法がない状況となりました。

日本側のご親族は、Aさんの本籍地のある市役所に相談し、できる限りの立証資料を添付して死亡届を出してみることになりました。

そこで、当事務所からご兄弟らの証言を取り、申述書にしてサイン証明を付けてもらい、送ってもらいました。

それを立証資料として市役所に死亡届を行いましたが、59年前の死亡であり、資料が少なすぎることから、法務局への受理照会(受理伺い)扱いとされ、判断を待つことになりました。

結果、市役所では死亡届は受理されず、家庭裁判所での失踪宣告の申し立てを行うことになりました。

申し立て後、調査、公告が行われ、無事に失踪宣告が確定しました。

偶然ですが、失踪宣告の裁判確定日は、Aさんの父親が在ブラジル日本領事館で出生届を行った日から59年と1日後でした。

ブラジルのご兄弟の方々には、1歳で亡くなった弟の当時の辛かった出来事を思い出してもらうこととなり、私としても胸が痛みましたが、戸籍上で事実関係が整理され、最終的には良かったと思っていただけたようです。

今回のように、現地の登記所にさえ死亡届が出されていないケースはまれだとは思われますが、亡くなった方が日本国籍を持っていることをご家族が忘れており、在ブラジル日本領事館に届け出られていないケースはよくあります。

そうした場合は、現地の死亡証明書を使って届け出ることで戸籍に反映されます。

相続人確定後、存命中の相続人らに協力をしてもらい、相続手続きを進めることとなりました。

アオヤギ行政書士事務所
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2019年1月8日火曜日

新年のご挨拶 & ブラジル案件の傾向

ブラジル在住者の渉外相続の手続きをサポートしている行政書士・ポルトガル語翻訳者の青柳りつ子です。

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明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今回は、当事務所に寄せられるブラジル在住者が絡む相続案件の最近の傾向について書いていきます。

まず、ブラジルの在住者が相続人になっているという事は、親族の中にブラジルに移民をした方がいたという事です。

そして、移民をしたという事は、その多くのケースで、農業従事者や農業での成功を目指し、土地を求めてブラジルに移民したという経緯があります。

つまり、日本の地方からブラジルに移民したケースが多いのです。

というわけで、当事務所に寄せられるご相談は、地方の親族や専門家の方からが大半です。

最近の傾向としては、過疎化が進む地方のいくつもの土地をまとめて、一つの事業開発計画が進められる中、一部の所有者の相続人にブラジルに移民した方や子孫がいることが判明したケースがいくつかあったことです。

日本の法令に従って相続手続きを進めないことには、事業計画が行き詰ります。
しかも「事業」ですから、目標期限もあり、関係者の方々としては、ブラジルの方々が手続きに協力的か、それとも、裁判までしなければならないのか、大きな分かれ道となります。

ブラジルの相続人と日本の親族が連絡が取れない状態である場合には、戸籍を調べ、日本国籍を持っている方がいる場合には、外務省の在外邦人調査にかけます。

そうすると、例えば在サンパウロ日本領事館に登録されているその方の住所や電話番号が報告として挙がってくる場合があります。

その情報が既に古くても、そのご子息がそこに住んでいることもあり、見つかる確率は半分くらいでしょうか。

見つかった時は、まさにヨシッという気持ちです。

そして、以外にもブラジルに住んでいると思っていたご親族が、日本に住んでいたりもします(笑)

ということで、今年度も引き続き、ブラジル案件に力を入れていきます!