2019年1月14日月曜日

ブラジル在住者の失踪宣告を申し立てた事例

ブラジル在住者の渉外相続の手続きをサポートしている行政書士・ポルトガル語翻訳者の青柳りつ子です。

今年はインフルエンザA型が大流行していますね。年末に我が家でもその流行に乗った人が一名おり、戦々恐々としました。

さて今回は、当事務所で扱ったブラジル在住者が絡む相続手続きの中で、日本の裁判所で失踪宣告を申立てた事例をご紹介します。

個人情報の特定がされない範囲で、また、アオヤギ事務所が行うサポート業務の立場から説明しますので、具体的な失踪宣告の申立てについては、家庭裁判所や弁護士、司法書士へのご相談をお勧めします。

このケースは日本側のご親族からアオヤギ事務所に相談があり、ブラジル側の親族を捜索するところから始まりました。

各所に捜索の協力願を行ってから間もなく、ブラジルの県人会の会長さんにご協力をいただき、無事に相続人の方々が見つかり、連絡が取れるようになりました。

ところが、相続人になるご兄弟の一人Aさんが、幼少のころに亡くなっていたことが分かりました。

このAさんは、戸籍に出生届は記載されているものの、死亡届が出されていませんでした。

この相続人の確定段階で、この死亡届をどうするかについて検討する必要姓が出てきました。

まずは、存命中のご兄弟らから当時の詳細の聞き取りを行いました。

ブラジルのアマゾン奥地の日本人植民地に移住した兄弟の両親は、59年前、Aさんが生まれた10日後に、在ブラジル日本領事館に出生届と国籍の留保の届け出を行いました。

Aさんは1歳のとき高熱を出しましたが、奥地であったため、家族がすぐに病院に連れていくことができず、そこで亡くなりました。

亡くなった後、日本政府から派遣された日本の植民地を周期的に巡回訪問していた医師により、死因は髄膜炎と結論づけられたようです。

今回聞き取りを行った兄弟らは、埋葬に参列しておらず、両親や近隣の大人たちで行われたため、誰が参列したか覚えておらず、聞いた話を記憶しているだけとのことでした。

葬儀はほんの短い儀式のみで、両親は埋葬するところまでは行かなかったようです。
ご兄弟は、「それが日本の習慣なのか分からないけれど」と説明してくれました。

本来なら、日本人がブラジルで亡くなった場合、まずは現地の登記所で死亡登記を行った後、在ブラジル日本領事館に届け出る必要がありますが、今回のケースでは、両親が現地で死亡届を行った形跡が一切なく、更に、墓地や墓標などの記録、写真も残されておらず、ご兄弟らの記憶に頼るしか証明する方法がない状況となりました。

日本側のご親族は、Aさんの本籍地のある市役所に相談し、できる限りの立証資料を添付して死亡届を出してみることになりました。

そこで、当事務所からご兄弟らの証言を取り、申述書にしてサイン証明を付けてもらい、送ってもらいました。

それを立証資料として市役所に死亡届を行いましたが、59年前の死亡であり、資料が少なすぎることから、法務局への受理照会(受理伺い)扱いとされ、判断を待つことになりました。

結果、市役所では死亡届は受理されず、家庭裁判所での失踪宣告の申し立てを行うことになりました。

申し立て後、調査、公告が行われ、無事に失踪宣告が確定しました。

偶然ですが、失踪宣告の裁判確定日は、Aさんの父親が在ブラジル日本領事館で出生届を行った日から59年と1日後でした。

ブラジルのご兄弟の方々には、1歳で亡くなった弟の当時の辛かった出来事を思い出してもらうこととなり、私としても胸が痛みましたが、戸籍上で事実関係が整理され、最終的には良かったと思っていただけたようです。

今回のように、現地の登記所にさえ死亡届が出されていないケースはまれだとは思われますが、亡くなった方が日本国籍を持っていることをご家族が忘れており、在ブラジル日本領事館に届け出られていないケースはよくあります。

そうした場合は、現地の死亡証明書を使って届け出ることで戸籍に反映されます。

相続人確定後、存命中の相続人らに協力をしてもらい、相続手続きを進めることとなりました。

アオヤギ行政書士事務所
https://www.officeaoyagi.com/

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