2019年8月26日月曜日

被相続人が日本人、相続人がブラジル人の場合の準拠法と相続順位

日本で亡くなった被相続人が日本人でも、法定相続人を調べたらブラジルに移民した親族が相続人になったというケースがあります。その場合の相続の準拠法はどうなるのかを解説します。

注意)この記事は2019年8月26日現在のもので、規定は現時点によります。
訳に関する一切の責任は負いません。無断転載を固く禁じます。
お気づきの点がありましたら、お知らせください。


まず、日本に住む日本国籍の方が亡くなった場合、相続は日本の法律が適用されます。

【日本法】法の適用に関する通則法(通則法)
第三十六条  相続は、被相続人の本国法による。

相続人に当たるブラジルの親族が既に亡くなっているケースだと代襲相続が発生していることがあります。

亡くなったブラジル在住者が日本国籍を持っていれば日本法が適用されますが、2世や3世の代では親がわざわざ日本領事館に出生届を行って国籍の留保を行わず、持っている国籍はブラジル国籍のみ(ブラジルは生地主義)となっているケースが多々見受けられます。

代襲相続が発生し、ブラジル国籍者がブラジルで亡くなった被相続人である場合は、上記の通則法通則法36条の規定によりブラジル法が準拠法になります。

そこで、ブラジル法を適用した相続の相続順位について訳文(アオヤギ事務所訳)とともに解説します。


ブラジルの相続法はブラジル民法で定めらています。
現在は2003年に施行された新民法になっていますが、それ以前に亡くなった場合は旧民法が適用されます。

  • 2002年1月10日制定 新民法 法令10406 2003年1月11日施行 
ブラジル政府ウェブサイト 新民法の全文を掲載しているページ(ポルトガル語)http://www.planalto.gov.br/ccivil_03/LEIS/2002/L10406.htm

  • 1916年1月1日制定 旧民法 法令3071 
ブラジル政府ウェブサイト 旧民法の全文を掲載しているページ(ポルトガル語)http://www.planalto.gov.br/ccivil_03/LEIS/L3071.htm → 2003年1月11日の新民法施行時に廃止。

まず、新民法の規定を見ます。


【ブラジル法】新民法 
Art. 1.787. Regula a sucessão e a legitimação para suceder a lei vigente ao tempo da abertura daquela.
1787条  相続と相続資格について、相続が開始した時点において有効な法律を適用する。

Art. 2.041. As disposições deste Código relativas à ordem da vocação hereditária (arts. 1.829 a 1.844) não se aplicam à sucessão aberta antes de sua vigência, prevalecendo o disposto na lei anterior
2041条 1829条から1844にあるこの民法典の相続の順位の規定は、旧法の規定が優先し、施行前に開始した相続にはついては適用されない。

そして、ブラジルの新民法で相続順位は以下のように定められています。
Art. 1.829. A sucessão legítima defere-se na ordem seguinte:
1829条 法定相続は、次の順位で決定される。
I - aos descendentes, em concorrência com o cônjuge sobrevivente, salvo se casado este com o falecido no regime da comunhão universal, ou no da separação obrigatória de bens (art. 1.640, parágrafo único); ou se, no regime da comunhão parcial, o autor da herança não houver deixado bens particulares;
I 生存配偶者とともに直系卑属。ただし、故人と全部財産共産制または義務的夫婦別産制で婚姻していた場合(1640条 単項)、または、一部共産制のもと、被相続人が固有の財産を残さなかった場合を除く。
II - aos ascendentes, em concorrência com o cônjuge;
II 配偶者とともに直系尊属
III - ao cônjuge sobrevivente;
III 生存配偶者
IV - aos colaterais.
IV 傍系血族

Art. 1.844. Não sobrevivendo cônjuge, ou companheiro, nem parente algum sucessível, ou tendo eles renunciado a herança, esta se devolve ao Município ou ao Distrito Federal, se localizada nas respectivas circunscrições, ou à União, quando situada em território federal.
1844条 生存配偶者又はパートナー、更には相続する親族がいない場合、又は、それらの者が遺産を放棄した場合は、国内に所在する場合は、遺産はふさわしい行政区に所在する自治体又は連邦区、又は国家に帰属する。

遡って、ブラジルの旧民法での相続順位は以下のように定められています。
Art. 1.603. A sucessão legítima defere-se na ordem seguinte:
1603条 法定相続は以下の順位に与えられる。
I - Aos descendentes.
I -  直系卑属
II - Aos ascendentes.
II - 直系尊属
III - Ao cônjuge sobrevivente.
III - 生存している配偶者
IV - Aos colaterais.
IV - 傍系血族
V - Aos Estados, ao Distrito Federal ou a União.
V - 州、連邦府又は、国

Art. 1.606. Não havendo herdeiros da classe dos descendentes, são chamados a sucessão os ascendentes.
1606条 直系卑属がいない場合は、直系尊属が相続人となる。

実際には、上記の他にも相続順位が細かく定められており、法定相続分についても規定されています。

日本で相続が開始した案件において、どこまで厳格にブラジル法を検討するのか、という点においても考慮する必要があるかもしれません。


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